ココナッツオイルは、本当に体によいのか?~最近の研究論文より~
油の正しい選択と摂取量
数年前、ココナッツオイルが非常に注目されていた時期がありましたね。
スーパーの油売り場にズラッと並ぶさまざまなメーカーのココナッツオイル。
今でも数は以前より少なくなったものの、数種類おいてあるところもありますね。
ココナッツオイルが注目されたのは、認知症予防に効果的(かも)という情報が紹介されたことが大きかったように思います。
海外の論文を見てみると、ココナッツオイル摂取による心血管疾患への影響、口腔や皮膚の健康に対する影響、認知機能に対する影響などを見つけることができます。
では、最近の論文ではどのように評価されているのかを見てみたいと思います。
2023年に発表された論文では、ココナッツオイルの過剰摂取は、さまざまなリスクがあるにもかかわらず、SNSなどによる偏った情報の拡散によって、消費量が急上昇していることに対する懸念を表明しています。
2020年に発表されたメタアナリシスの手法を用いた論文では、心血管疾患の危険因子となり得ることを指摘しています。
具体的には、ココナッツオイルの摂取は、血液中の中性脂肪、LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロールのいずれの数値も上昇させる可能を指摘しています。
HDLコレステロールの数値が上昇するのであれば、良いのでは?と思われたかもしれませんが、
これは、バターの摂取と比較した場合です。
一方、LDLコレステロール値の上昇は、とうもろこし油や大豆油、紅花油など植物性油を比較した場合です。
そのため、この論文ではココナッツオイルの摂取は、心血管疾患のリスクを高める因子のひとつとなる可能性を指摘しています。
また、認知症予防については、その可能性がある、程度の報告に留まっています。
つまり、ヒトに対しての効果はあるかもしれないが、明確ではないということなのです。
こうして考えてみると、ココナッツオイルの摂取は、認知症予防になるかもしれないけれども、
どうやら心血管疾患のリスクを高める因子の可能性もあるわけだから、その点を考慮する必要がある、
つまり、摂り過ぎないようにする、ということが大切、ということになります。
実際、ココナッツオイルは、成分表上は91%以上が飽和脂肪酸です。
飽和脂肪酸は、通常、常温で固形となる油で、とりすぎると血液中のLDLコレステロールが増え、動脈硬化の原因となることが知られています。
最近は、以前ほどココナッツ油に認知症予防の働きが注目されなくなってきたようですが、
摂り過ぎは、動脈硬化を引き起こし、心血管疾患のリスクが高まりますので注意が必要です。
では、一番健康的な油は何か?というと、魚に含まれる油です。
魚に含まれる油は、さまざまな健康効果があることが明らかにされています。
しかし、残念ながらいわゆる油として調理に使うことはできませんので、
その場合はできるだけ酸化につよい油を使うことがおすすめです。
酸化に強く、ポリフェノールも多く含まれている油はオリーブ油です。
とはいえ、脂質の取り過ぎもよくありませんので、オリーブ油を使うにしろ、
サラダ油を使うにしろ、使い過ぎないようにすることが大切ですね♪
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