卵の栄養価と鮮度の見分け方、1日の摂取量について

卵に含まれる栄養素とは?

卵(鶏卵)1個あたりのエネルギーは、約75kcalであり、ヒトの体に必要な栄養素をまんべんなく含んでいます。ビタミンCと食物繊維は含まれていませんが、その他のすべての栄養素が含まれており、栄養価が高く、バランスのよい食品だといえます。ひとつの食品で栄養素がこれだけバランスよく含まれている食品は少ないです。特にアミノ酸組成のバランスがよく、アミノ酸スコアは100です。また、ふ化前に必要な栄養素がすべて含まれているため、骨格に必要なカルシウムやリン、脳や細胞をつくるのに必要な脂質やたんぱく質などが十分に含まれています。

構造と機能性

卵(鶏卵)の構造は、卵殻と卵殻幕、卵白、卵黄からなり、その割合は、1:6:3です。卵白は、粘度の低い水様卵白と濃厚卵白で構成されます。水様卵白は、さらに内水様卵白と外水様卵白にわけられます。卵(鶏卵)には、多くの機能性成分が含まれています。こうした機能性成分は、食品以外にも医薬品や化粧品などで利用されています。具体的には、リゾチーム、γ―リベチン、シアル酸などがあります。

部位別の栄養素の違い

卵黄の成分の主なものはたんぱく質、脂質、ミネラルがあります。卵黄に含まれるたんぱく質の約80%は、脂質が結合したリポたんぱく質です。たんぱく質の種類としては、リボビテリン、ホスビチン、低密度リポたんぱく質(LDL)、リベチンなどがあります。脂質は、多い順に中性脂肪、リン脂質、コレステロールが含まれています。ミネラルは、カルシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなどが含まれています。なお、ビタミンは、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの両方が含まれています。

 卵白には、鶏卵全体の約60%のたんぱく質が含まれています。たんぱく質の種類としては、オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムチン、リゾチームなどがあります。オボアルブミン、オボムコイド、オボトランスフェリン、リゾチームは、卵の主要なアレルゲンと考えられています。ビタミンは、水溶性ビタミンのみ含まれています。

卵の特性とは

卵(鶏卵)には、凝固性、乳化性、起泡性の3つの大きな特性があります。

①凝固性

卵黄の凝固は、68℃から、卵白の凝固は、58℃から始まります。卵黄と卵白を混ぜ合わせた場合の凝固温度は、66℃になります。この場合、加熱する温度や時間、加える食材や調味料によって凝固温度は変化します。卵黄と卵白の凝固温度の違いを利用した料理として温泉卵があります。なお、卵黄は、加熱することで消化性は低下しますが、卵白は逆に消化性が高くなります。

②乳化性

卵黄と卵白のいずれも乳化性を持っていますが、卵黄の方がより乳化安定性が大きいです。卵黄に含まれるレシチン(ホスファチジルコリン)などの卵黄リン脂質は、たんぱく質と結合してリポたんぱく質となり、強力な乳化作用を持ちます。この作用を応用したものがマヨネーズです。なお、卵黄の乳化性は、冷凍すると低下します。

③起泡性

卵は、攪拌すると泡立ちますが、特に卵白は固く安定した起泡性があります。特に卵白に含まれるたんぱく質の一種であるオボムチンは起泡性が極めて高いため、卵白は安定した起泡性があるものと考えられます。こうした特性は、スポンジケーキやカステラなどに利用されています。

卵の鮮度の見分け方とは

一般的な見分け方としては、以下のようなものがあります。

(1)新鮮は卵の殻の表面は、ザラザラしている。

(2)割った時に卵黄がこんもりと盛り上がっている。

(3)濃厚卵白がたっぷりあり厚みがあって透き通っており、割った時に殻から離れにくい。

なお、ゆで卵にした時、殻の内側にある薄皮がむけにくい卵は、新鮮な卵です。新鮮な卵ほど、卵に多くの炭酸ガスを含んでおり、ゆでられることで膨張して殻に押し付けられるため、むけにくくなります。

その他に卵黄係数という見方があります。

卵黄係数=卵黄の高さ(mm)÷卵黄の直系(mm)

卵黄係数が、新鮮は卵は、おおむね0.35~0.44とされ0.30以下の場合は、古い卵と言えます。

正確な方法としては、ハウユニット値があります。

卵は1日何個まで食べていいの?

卵(鶏卵)は、1日何個まで食べて良いのでしょうか?

卵は、コレステロールが多く含まれるので、以前は1日1個までにしましょうと言われていました。しかし、現在はその根拠となる基準は存在しません。理由は、現在利用されている「日本人の食事摂取基準2015年版」には、コレステロール値の摂取基準値がないからです。以前の2010年版には、1日あたりの摂取量の目標量を18歳以上の男性の場合で750m未満、女性の場合で600mg未満と定めていました。

卵は、1日1個までとの認識が多かったのは、なぜでしょうか。卵1個に含まれるコレステロール値は、約210mgですから、卵を2個食べると400mg以上になり、1日あたりの目標量の約3分の2もの量を卵だけで摂取してしまうことになり、多すぎだと考えられていたことが原因と推測されます。

コレステロールは、体内で合成されている

 コレステロールは主に、肝臓と小腸で10段階以上の酵素反応などを経て作られています。コレステロールは、胆汁酸や副腎皮質ホルモン、性ホルモンに変換されて利用される他、生体膜の主要な構成成分でもあります。つまり、ヒトにとって大変重要な成分なので、体内でも合成されていると考えれられます。体内で合成される量は、体重50kgの人で600~650mg/日(12~13 mg/kg体重/日)です。摂取されたコレステロールの40~60%が吸収されますが、 個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響されます。食品から摂取されるコレステロールは、体内で作られるコレステロールの1/3~1/7とされ、体内で合成される量の方が多いことが分かっています。 また、コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働きます。このため食事からのコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではありません。

卵の摂取量と脳卒中などの疾患リスクとの関連は確認されていません。ただし、コレステロール摂取量との関連があるという研究も

 動脈硬化関連疾患に関しては、卵(鶏卵)はコレステロール含有率が高く、また日常の摂取量も多いため、卵の摂取量と疾患リスクとの関連を調べた研究は多くあります。日本人の食事摂取基準2015年版では、以下のとおり解説されています(一部抜粋)。

卵の摂取量と動脈硬化性疾患罹患との関連を調べた2013年のメタ・アナリシスでは、卵の摂取量と冠動脈疾患及び脳卒中罹患との関連は認められませんでした。日本人を対象 にしたコホート研究でも、卵の摂取量と虚血性心疾患や脳卒中による死亡率との関連はなく、1日に卵を2個以上摂取した群とほとんど摂取しない群との死亡率を比べても有意な差は認められていません。卵の摂取量と冠動脈疾患罹患との関連を調べたJPHC研究でも、卵の摂取量と冠動脈罹患との関連は認められていません。また、糖尿病患者においても、卵の摂取量と冠動脈疾患罹患との関連は認められておらず、横断的な卵の摂取量と糖尿病有病率との関連も認められていません。がんとの関連については、NIPPON DATA 80で、女性において、卵を2個/日以上摂取する 群(総対象者の上位1.3%)では卵を1個/日の群に比べ「有意ではない」が、がん死亡の相対危険が約 2倍という結果でした。なお、欧米で発表された症例対照研究では、コレステロール摂取量と卵巣がんや子宮内膜がんに正の関連が認められているものなどがあり、コレステロールの摂取量(卵の摂取量ではない)は低めに抑えることが好ましいと考えられます。

卵の適切な摂取量は?

卵の摂取量と脳卒中などの疾患リスクとの関連は確認されていませんので、毎日必ず2個以上食べるといった量ではなく、たまにたくさん食べてしまうという程度であれば、今のところ気にする必要はなさそうです。逆に、様々な栄養素(ビタミンCと食物繊維以外)がバランスよく含まれますので、主治医からコレステロールの摂取量を制限するように言われている場合などでなければ、1日に1個程度は食べた方がよいという考え方もできるでしょう。コレステロールは動物性たんぱく質が多く含まれる食品に含まれるため、特に高齢者にとっては、コレステロール摂取量を過度に制限すると、たんぱく質不足を生じ低栄養を生じる可能性があるので注意が必要です。

食事はバランスが大切です。どんな食品でもそればかりを大量に食べ続けたり、まったく食べないのではなく、食事を楽しみながらいろいろな種類の食品をとるようにしましょう。

(資料)

・日本人の食事摂取基準2015年版



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