食欲のコントロールには、プロピオン酸?
食欲を調節する仕組みを、毎日の食事で支えていこう
「お腹はいっぱいのはずなのに、なぜか食べたくなる」
「甘いものが欲しくて、ついつい食べ過ぎてしまう」
そんな経験は、みなさんあるのではないでしょうか?
食欲は、さまざまなホルモンや神経の働きによって調節されています。
個人的には、意志の強さでコントロールするのが、
非常に難しいもの、と考えています。
そして近年、腸内細菌が作り出す代謝物も、
食欲の調節に関わっていることがわかってきました。
その一つが「プロピオン酸」です。

プロピオン酸は、腸内細菌が食物繊維などを発酵・分解することで
作り出す短鎖脂肪酸のひとつです。
短鎖脂肪酸には、酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあり、
腸管の健康維持やエネルギー代謝など、さまざまな働きに関係しています。
なかでもプロピオン酸は、食欲を調節するホルモンとの関係で注目されています。
2015年に医学誌『Gut』に掲載された研究では、
過体重の成人を対象に、プロピオン酸を大腸まで届ける特殊な素材を
用いた試験が行われました。
その結果、プロピオン酸を届けたグループでは、
食欲調節ホルモンであるGLP-1やPYYの分泌が増加し、
食事からのエネルギー摂取量が減少したと報告されています。
GLP-1やPYYは、食事を摂った後などに腸から分泌され、
脳に満腹のシグナルを伝える働きを持っています。
さらに、この研究では24週間の介入によって、
体重増加や腹部脂肪の蓄積が抑えられる可能性も示されました。
つまり、腸内細菌が作り出すプロピオン酸が、
食欲の調節に関わっている可能性があるのです。
では、プロピオン酸を増やすためには、
何を食べればよいのでしょうか?
ポイントは、プロピオン酸を作り出す腸内細菌の
エサとなる食物繊維や難消化性でんぷんを摂ること、になります。
もち麦や大麦に含まれるβ-グルカン、
玉ねぎやごぼうに含まれるフルクタン類、
豆類に含まれるオリゴ糖などは、腸内細菌によって発酵され、
短鎖脂肪酸の産生につながります。
また、冷ましたご飯やじゃがいもに含まれるレジスタントスターチも、
腸内細菌が利用できる成分です。
ただし、これらの食品を食べれば必ずプロピオン酸が増え、
食欲が抑えられると証明されたわけではありません。
腸内細菌の種類や構成は人によって異なるため、
同じ食品を食べても、作られる短鎖脂肪酸の量や割合には個人差があります。

それでも、さまざまな植物性食品を組み合わせて食べることは、
腸内細菌の働きを支えるうえで大切です。
食欲をコントロールするために、ただ我慢するのではなく、
食欲を調節する仕組みを、毎日の食事から支える。
まずは、米1合に大匙1のもち麦(と大匙2の水)を加えて
炊くところから始めてみるのはいかがでしょうか。
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